台湾一人旅は謎の〝薬湯炭酸〟で始まる
中国語を駆使した37歳男一人、台湾旅。
楽しいことが満載すぎた。
この旅行は、友人ボアが空港に迎えてきてくれたことから始まる。
本当は、ピーチ航空の中で1人泥酔し、
ガイドブックを置き忘れたことから既に始まっていたのだが…
5月に家族で訪れたばかりの台湾。
今度は一人旅だ。
前回に引き続き、
またBOA君が桃園空港まで迎えに来てくれた。
わざわざ台北から1時間近くかけて。
ありがとう。
今回の台湾旅行では、
南側に行くことにしていたので、
台北より南側の桃園にそのまま泊まることにしていた。
泊まる場所は桃園駅のすぐ近くだし、
空港からはバスも出ているはずだった。
だから、わざわざボア君に迎えてに来てもらうのが悪くて
お迎えを一度辞退したのが、それでも彼は迎えに来てくれた。
日中働いていて大変なのに。奥さんいるのに。
ありがたいこっちゃ。
空港を出て20分ほど車を走らせると、街が広がってきた。
これが桃園か。道路沿いに広がる様々な看板。
桃園もこの景色か、好きだなあこの雑多な感じ。
ああ、台湾に来たんだなあ。幸せを噛み締める瞬間。
車の中で仕事やなんやの話をする。
彼と知り合ったのは7年前。
彼がまだ山形大学に留学している学生のときだった。
台湾テレビ局と山形でロケしたとき「留学生代表」として出演もしてもらった。
あれから彼は、就職し結婚もした。すっかり大人になった。
今はこうして、友人として世間話をしている。
ふと、ボアが「何食べたい?」と聞くので
「路地で食べたい。台湾の生ぬるい空気の中で食べる台湾の庶民の味。あれが大好き」
「OK」
「OK」
聞けばボアも桃園は詳しくないという。
それでもボアは、ナビや携帯のグーグルマップを使いながら、
宿まで連れて行ってくれた。
宿は、Ours Hostel@Taoyuan airport(奥斯青年旅店)。
雑居ビルの8階にある、8人部屋のドミトリー。
とりあえずバックパックだけベッドに置いて、貴重品を持ってボアの車に戻る。
ボアはすぐ近くの、飲食店が多い路地に連れて行ってくれた。
「嘉義の鶏肉」のお店だった。
「嘉義知ってる!台南の隣だよね?」と得意げに聞くと
「そうそう。鶏肉が超有名なところさ!」とさらに得意げなボア。
空いてるテーブルを探しプラスチックの椅子に腰をおろす。
台湾の生暖かい空気に包まれる。
いいなぁ、この感じ。大好きだ。
「やっぱりこういうところが台湾っぽくていいよね。僕も日本に留学してから、こういう台湾の良さに気づいたよ」
「俺も台湾で生活してみたいよ」
「俺も台湾で生活してみたいよ」
我々の間でいつも繰り返されるやりとりだ。
彼は「車なので酒は飲めない」というから、僕もそれに付き合った。
「じゃあ俺もきょうぐらい飲まないでおこう!」。
実は飛行機でビールやら日本酒やら、たらふく飲みすぎて酩酊状態になり、
飛行機に『地球の歩き方』を置き忘れてきてしまったんだけど、
その事実は伏せておくことにした。
料理を待っている間ボアがコンビニに行く。
ほどなくして、ボアは見たことのないジュースらしきものを買ってきてくれた。
「飲んでみて」という。
ほう。『黒松沙士』ですか?飲んだことないな。
「初めて」は大好きだ。
プシュ!
ごくり。ゴクゴク。
むむむ!
なんだこれ!?
さらにゴクゴク。
半端ない漢方な感じ!
薬湯に炭酸を入れたような…
これは中華圏ならではの味!
これは中華圏ならではの味!
まずい、まずいぞ!これ!
それでももう少し。ゴクゴク。
やっぱりまずい!
もう少し。ゴクゴク。
いや、いける!
慣れればうまい!、という気もしてくる!
ボアが「どう?」と尋ねてくるので
「独特な味で台湾に来た感じがする!」という微妙な表現に、
「独特な味で台湾に来た感じがする!」という微妙な表現に、
彼は笑った。
彼は確信犯だったのだ!
調理している間じゅう、お店断って写真をバシャバシャ撮る。
ボアはすでに夕食を済ませてきたというので、ゴクゴク〝薬湯炭酸〟を飲んでいる。
ボアくん、君はこれをうまいと感じるわけ?
見た感じ日本人なのか台湾人なのか
フィリピン人なのかよくわからなボアだが
〝薬湯炭酸〟をゴクゴク飲んでいる姿は間違いなく台湾ボーイだ!
泥酔あけで空腹の僕は、遠慮なくひとりバクバク食べてペロリと平らげた。
料理は全ておいしかった。
苦瓜のスープがアルコール漬けされた胃に染み渡る。鶏肉の味は忘れた(笑)。
ありがとよ、ボア!!