いろいろディープに台湾旅行記〜台湾の人も料理も文化も大好きでたまらない人間の場合〜

台湾の野菜炒めとビール、そして優しい人々‼中国語を使うことで、さらに楽しんできました

ミスチルコンサート旅@台北・2日目(公演1日目)

ミスチルコンサート「重力と呼吸」台北公演のための台北ひとり旅に関する旅行記です。<br /><br />ごくごく個人的な手記です。<br /><br />長いですがご了承下さい。

ミスチルコンサート旅@台北・2日目(公

 

ミスチルコンサート「重力と呼吸」台北公演のための台北ひとり旅に関する旅行記です。

 

きょうはいよいよ楽しみにしていたコンサート。<br />まずはしっかりと朝食を摂ろう。<br /><br />宿の兄ちゃんに<br />「近くに中華風の朝飯食べられるところある?」と聞くと<br /><br />「交差点をこえたところにあります」とのこと。<br /><br />よし、近いぞ。<br /><br />行ってみよう。<br /><br />街は出勤ラッシュ。

 

きょうはいよいよ楽しみにしていたコンサート。
まずはしっかりと朝食を摂ろう。

宿の兄ちゃんに
「近くに中華風の朝飯食べられるところある?」と聞くと

(宿:Sleep Taipei)

 

参考

 



「交差点をこえたところにあります」とのこと。

よし、近いぞ。

行ってみよう。

街は出勤ラッシュ。

ここか。<br /><br />いいぞいいぞ。<br /><br />〝名店の香り〟がする。

 

ここか。

いいぞいいぞ。

〝名店の香り〟がする。

この目の前でジャージャーやってくれるのが良いんだよね

 

この目の前でジャージャーやってくれるのが良いんだよね

その場で揚げている、油条。<br /><br />大好きです。<br /><br />日本では食べられない。こっちに来たら絶対食べる。<br />

 

その場で揚げている、油条。

大好きです。

日本では食べられない。こっちに来たら絶対食べる。

卵にネギをまぜたものも頼む

 

卵にネギをまぜたものも頼む

小籠包もあるのか~<br /><br />いいぞいいぞ

 

小籠包もあるのか~

いいぞいいぞ

油条に豆漿。<br /><br />これを食べるが、大好きです。

 

油条に豆漿。

これを食べるが、大好きです。

店内は地元の人ばかり。

 

店内は地元の人ばかり。

遅れて小籠包が届く。<br /><br />たまんないね~

 

遅れて小籠包が届く。

たまんないね~

全部うまい。<br /><br />台湾・中国は、朝飯が一番好き。<br /><br />留学している時も、朝飯の時間が一番楽しみだった。<br /><br />全部で130元≒520円

 

全部うまい。

台湾・中国は、朝飯が一番好き。

留学している時も、朝飯の時間が一番楽しみだった。

全部で130元≒520円

歩いてボアの職場に。板橋駅前の立派なビルだった。<br /><br />無料WiFiがつながるところで何とかLINEをやりとして、無事会えた。<br /><br />コンサートチケットを受け取り、お金を渡す。<br /><br /><br />彼は営業職。<br /><br />この日は月初めということで<br />「1月分を締めて計算しているから1日会社だ」といった。<br /><br />「先月の目標はとどいた?」ときくと<br />「むしろ超えた」とドヤ顔。<br /><br />「営業楽しい」と聞いて、こっちもうれしくなった。<br /><br />「コンサートまで何するの?」と聞かれたが<br /><br />「何も考えていない。とりあえずチェックインしてくるわ。<br /> 夜はスッポンとか蛇食べるつもり。華西観光夜市?行ってくる」<br /><br />「マジ??他の日本人にとっては罰ゲームみたいなもんなのに。変な日本人だね。」

 

歩いてボアの職場に。板橋駅前の立派なビルだった。

無料WiFiがつながるところで何とかLINEをやりとして、無事会えた。

コンサートチケットを受け取り、お金を渡す。


彼は営業職。

この日は月初めということで
「1月分を締めて計算しているから1日会社だ」といった。

「先月の目標はとどいた?」ときくと
「むしろ超えた」とドヤ顔。

「営業楽しい」と聞いて、こっちもうれしくなった。

「コンサートまで何するの?」と聞かれたが

「何も考えていない。とりあえずチェックインしてくるわ。
 夜はスッポンとか蛇食べるつもり。華西観光夜市?行ってくる」

「マジ??他の日本人にとっては罰ゲームみたいなもんなのに。変な日本人だね。」

板橋駅付近でコーヒーブレイクしたくて彷徨ったが、朝にやってる店は見つけられず。<br /><br />セブンイレブンのコーヒーにする。<br /><br />そしてトイレへ。<br /><br />ここ数日、お腹の調子が悪い。

 

板橋駅付近でコーヒーブレイクしたくて彷徨ったが、朝にやってる店は見つけられず。

セブンイレブンのコーヒーにする。

そしてトイレへ。

ここ数日、お腹の調子が悪い。

「忘れ物しないでね」との張り紙。<br /><br />しかし<br /><br />このトイレには紙がなかった。<br /><br />忘れ物をしないように呼びかけるものの、自分たちは紙の補充を忘れているようだった。<br /><br />紙を持っていなかった僕は焦った。<br /><br />「どうする?ドースル?俺!!」<br /><br />しばし、どうするか考えた。<br /><br /><br />いくら考えても、選択肢は2つしかなかった。<br /><br />①そのまま「いろんなこと」を忘れてしまうか。<br /><br />②定員さんに助けを求めるか。<br /><br /><br />日本人の僕には「いろんなこと」を忘れることはできなかった。

 

「忘れ物しないでね」との張り紙。

しかし

このトイレには紙がなかった。

忘れ物をしないように呼びかけるものの、自分たちは紙の補充を忘れているようだった。

紙を持っていなかった僕は焦った。

「どうする?ドースル?俺!!」

しばし、どうするか考えた。


いくら考えても、選択肢は2つしかなかった。

①そのまま「いろんなこと」を忘れてしまうか。

②定員さんに助けを求めるか。


日本人の僕には「いろんなこと」を忘れることはできなかった。

「手を洗うのを覚えていてね」<br /><br />いろんな張り紙がある。<br /><br />実際、ここに手洗い場はなかった。

 

「手を洗うのを覚えていてね」

いろんな張り紙がある。

実際、ここに手洗い場はなかった。

ピンチを乗り切った僕は、セブンの目の前にあった貸自転車ベースで自転車を借りた。You Bike、というらしい。<br /><br />クレジットカードの番号を登録して、自転車の番号を押すと、鍵が開いた。<br /><br />台湾の繁体字はよくわからんが、なんとかなった。<br /><br />僕は、ハンドルをぎゅっと握りしめて台北の街を駆け抜けた。<br /><br />「手を洗うのを覚えていてね」という張り紙のことは、すっかり忘れていた。

 

ピンチを乗り切った僕は、セブンの目の前にあった貸自転車ベースで自転車を借りた。You Bike、というらしい。

クレジットカードの番号を登録して、自転車の番号を押すと、鍵が開いた。

台湾の繁体字はよくわからんが、なんとかなった。

僕は、ハンドルをぎゅっと握りしめて台北の街を駆け抜けた。

「手を洗うのを覚えていてね」という張り紙のことは、すっかり忘れていた。

なんじゃこりゃ?<br /><br />「双玉アートコーナー」とでも訳そうか。<br /><br />携帯のGPSで確認しながら街を走る。

 

なんじゃこりゃ?

「双玉アートコーナー」とでも訳そうか。

携帯のGPSで確認しながら街を走る。

台北の街並みを走っていると時折出くわす大木。<br /><br />夜ビール片手に、こういうところにのんびり散歩に来たいな。

 

台北の街並みを走っていると時折出くわす大木。

夜ビール片手に、こういうところにのんびり散歩に来たいな。

小南門駅の駐輪場で自転車を返す。<br /><br />クレカの場合の返し方が結局よくわらかなかったが、大丈夫だったらしい。<br /><br />後日確認すると、1時間で75円の請求がきていた。<br /><br />「デポジットで2000元必要。返金は数日後」と言われていたが、その金銭的やりとりは記録されていなかった。<br />

 

小南門駅の駐輪場で自転車を返す。

クレカの場合の返し方が結局よくわらかなかったが、大丈夫だったらしい。

後日確認すると、1時間で75円の請求がきていた。

デポジットで2000元必要。返金は数日後」と言われていたが、その金銭的やりとりは記録されていなかった。

きれいだね~

 

きれいだね~

立派だ~<br /><br />MRTできょうの宿近くへ。<br /><br />「南京三民駅」というところが最寄らしい。

 

立派だ~

MRTできょうの宿近くへ。

「南京三民駅」というところが最寄らしい。

「南京三民駅」下車後、昼食。<br /><br />混んでいるので入ってみた。

 

「南京三民駅」下車後、昼食。

混んでいるので入ってみた。

小綺麗なお店<br /><br />「麺と肉と野菜が食べたい」とお店の人にいうと、メニューを決めてくれた。

 

小綺麗なお店

「麺と肉と野菜が食べたい」とお店の人にいうと、メニューを決めてくれた。

無理やり日本語に訳すと「油そば」だろうか。<br /><br />食べると…<br /><br />「味うすっ!!まずい!!」とがっかり。<br /><br />ヤケクソ気味に、テーブルにあったソースやら黒酢やら辛いのやらをぶちこむ。<br /><br />旅は体力を使う。<br />ばてないようにとりあえず腹に入れればいいんだ!!<br /><br />混ぜる!!<br /><br />食べる!!<br /><br />もぐもぐ!!<br /><br /><br />あれ??<br /><br /><br />もう一口!!<br /><br />ムシャムシャ!!<br /><br />なんだこれ!?<br /><br />うまい!!<br /><br />うまいぞ!!<br /><br />こんな食い方、誰も知るまい。<br /><br />ふふふ。<br /><br />あれ?なんだこれ?<br /><br />テーブルにはんか張り紙みたいのある。<br /><br />なんだろ?<br /><br />読んでみる。<br /><br />「ソースや黒酢、唐辛子を入れてお好みの味に仕上げてください」<br /><br />なるほど笑<br /><br />そういうことでしたか笑<br /><br /><br />絶品でした!!<br /><br />キャベツスープとで、計105元≒420円

 

無理やり日本語に訳すと「油そば」だろうか。

食べると…

「味うすっ!!まずい!!」とがっかり。

ヤケクソ気味に、テーブルにあったソースやら黒酢やら辛いのやらをぶちこむ。

旅は体力を使う。
ばてないようにとりあえず腹に入れればいいんだ!!

混ぜる!!

食べる!!

もぐもぐ!!


あれ??


もう一口!!

ムシャムシャ!!

なんだこれ!?

うまい!!

うまいぞ!!

こんな食い方、誰も知るまい。

ふふふ。

あれ?なんだこれ?

テーブルにはんか張り紙みたいのある。

なんだろ?

読んでみる。

「ソースや黒酢、唐辛子を入れてお好みの味に仕上げてください」

なるほど笑

そういうことでしたか笑


絶品でした!!

キャベツスープとで、計105元≒420円

他に食べてみたいのがいっぱい<br /><br />また来たいな~

 

他に食べてみたいのがいっぱい

また来たいな~

宿着<br />スリーピー ドラゴン ホステル(Sleepy Dragon Hoste)<br />https://www.booking.com/hotel/tw/sleepy-dragon-hostel.ja.html?aid=397594;label=gog235jc-1DCAEoggI46AdIFVgDaHWIAQGYARW4AQfIAQ3YAQPoAQH4AQKIAgGoAgM;sid=36e76cb5c60c1a666c448b61685bb49f#map_closed<br /><br />スタッフのレベルも高く、良い宿でした。

 

宿着
スリーピー ドラゴン ホステル(Sleepy Dragon Hoste)
https://www.booking.com/hotel/tw/sleepy-dragon-hostel.ja.html?aid=397594;label=gog235jc-1DCAEoggI46AdIFVgDaHWIAQGYARW4AQfIAQ3YAQPoAQH4AQKIAgGoAgM;sid=36e76cb5c60c1a666c448b61685bb49f#map_closed

スタッフのレベルも高く、良い宿でした。

628元≒2500円<br /><br />ドミトリーにしてはちょっと高めかも知れないが、7階で窓がある。<br /><br />食堂にも窓。<br /><br />4泊のうち、窓があるドミトリーはここだけだった。<br /><br />しかも広々。<br /><br /><br />宿に向かう途中、スマホのGPSを見ながら直進する西洋人の女性を見かけた。<br /><br />僕と同じようにバックパックを背負い、僕と同じ方向に向かっていた。<br /><br />信号待ちの時、我々はお互いをチラチラ見た。<br /><br />そして、同じビルに入り、同じエレベーターに乗った。<br /><br />気まずさを解消するため「同じ宿だったんですね」と笑い合った。<br /><br />宿に入った瞬間、スタッフから<br />「ご一緒ですか?」と英語で尋ねられ<br /><br />二人同時に<br />「NO」と返す。<br /><br />宿の女性スタッフーたぶん僕と同じぐらいの年頃ーは、流暢な英語で宿のことや、近くの観光スポットについて説明した。<br /><br />聞き取れないときは「もう一度中国語で!!」とお願いすると、彼女は嫌な顔ひとつせず、繰り返してくれた。<br /><br />大事なことを英語で話したときは、旅の女性は<br />「彼はわかったのかしら?」と、これまた流暢な英語で気にかけてくれた。<br /><br /><br />そして<br />「あすから台湾は旧正月休暇に入ります。両替が必要なら絶対に今日中!!」と注意を促した。<br /><br />僕は最低限しか両替していなかったが、間に合いそうなので関係なかったが、一緒に入った女性は、最寄の銀行までの道順を熱心に聞いていた。<br /><br />そして我々は部屋に案内された。<br /><br />僕らは同じ部屋だった。<br /><br />荷物を片付けている間、僕らは喋った。<br /><br />そのきれいな英語からは、どこの国の人かは予想できなかったので<br /><br />「お国はどちら?」と聞くと<br /><br />彼女はロシア人で、現在ベトナムに住んでいるという。<br /><br />その前には、中国の貴州省に留学していた、といった。<br /><br />「ロシアのどこ?」と聞くと<br /><br />「あなたはロシアの都市を知ってるのかしら…」とつぶやいた後<br /><br />「Petersburg」<br /><br />???<br /><br />ドイツのどっか??<br /><br />いや、ロシアって言ったよな…<br /><br />僕は「わらかない」と首を振った。<br /><br />「知らないよね。ロシアで第二の都市よ」と残念そうにいった。<br /><br />第二の都市?<br /><br />「ロシアの第二の都市は、サンクトペテルブルグだと思ってた」とつぶやくと<br /><br />彼女は「Yes!!」と叫んだ。<br /><br />???<br /><br />???<br /><br />どゆこと??<br /><br />「サンクトペテルブルグよ!!英語ではPetersburgと言うの」といった後<br /><br />ニヤニヤしながら、僕の日本語の発音の「サンクトペテルブルグ」を真似た。<br /><br />「日本語では、ロシア語の発音に近いのね」<br /><br />「レニングラードだったところでしょ?」<br /><br />またも「Yes!!」と叫んだ。<br /><br />「とてもきれいなところらしいね」というと<br /><br />「なんでそんなに知ってるの?」と聞かれた。<br /><br />「ウラジオストクからモスクワまでシベリア鉄道に乗ったことあるんだ。そのときガイドブックだけ読んだよ」<br /><br />「ワオ!!私はロシア人なのにそんな距離乗ったことないわ。サンクトペテルブルグには行かなかったの?」<br /><br />「行きたかったけどね。時間的にいけなかった。」<br /><br />「行くべきだったわね。モスクワよりいいところよ」と得意げにいった。<br /><br />モスクワより良い場所。きっとそれは、事実なのだろう。<br /><br />僕は、WW2時に、レニングラードがドイツ軍に包囲され、大量の餓死者を出した惨事について質問したかったが、それはやめておいた。<br /><br />彼女は<br />「台北何回目?」と聞いた。<br /><br />「4回目」<br /><br />「ワオ!!私初めてなの。オススメ教えて!!」<br /><br />そこで僕はピタリと止まった。<br /><br />そこで僕は、台北のオススメの場所というものを全く知らない、ということに初めて気づいた。<br /><br />「言われてみれば、いつも違う都市にばかり行ってて、台北のことはよく知らないや」<br /><br />「OK。101ビルに行ってみるわ」といって、彼女は出ていった。<br /><br />僕は、コンサートまで英気を養うことにした。<br /><br />ヘッドホンをして「重力と呼吸」を再生した。<br /><br />歌詞カードを出して予習した。<br /><br />ほどなくして彼女が戻ってきた。<br /><br />「どうしたの?」<br /><br />「銀行に両替いったらパスポートないのに気づいて…」とブツブツ言いながらローカーでゴソゴソやっていた。<br /><br />海外を楽しめる人ってのは、そんなもんだ。

 

628元≒2500円

ドミトリーにしてはちょっと高めかも知れないが、7階で窓がある。

食堂にも窓。

4泊のうち、窓があるドミトリーはここだけだった。

しかも広々。


宿に向かう途中、スマホGPSを見ながら直進する西洋人の女性を見かけた。

僕と同じようにバックパックを背負い、僕と同じ方向に向かっていた。

信号待ちの時、我々はお互いをチラチラ見た。

そして、同じビルに入り、同じエレベーターに乗った。

気まずさを解消するため「同じ宿だったんですね」と笑い合った。

宿に入った瞬間、スタッフから
「ご一緒ですか?」と英語で尋ねられ

二人同時に
「NO」と返す。

宿の女性スタッフーたぶん僕と同じぐらいの年頃ーは、流暢な英語で宿のことや、近くの観光スポットについて説明した。

聞き取れないときは「もう一度中国語で!!」とお願いすると、彼女は嫌な顔ひとつせず、繰り返してくれた。

大事なことを英語で話したときは、旅の女性は
「彼はわかったのかしら?」と、これまた流暢な英語で気にかけてくれた。


そして
「あすから台湾は旧正月休暇に入ります。両替が必要なら絶対に今日中!!」と注意を促した。

僕は最低限しか両替していなかったが、間に合いそうなので関係なかったが、一緒に入った女性は、最寄の銀行までの道順を熱心に聞いていた。

そして我々は部屋に案内された。

僕らは同じ部屋だった。

荷物を片付けている間、僕らは喋った。

そのきれいな英語からは、どこの国の人かは予想できなかったので

「お国はどちら?」と聞くと

彼女はロシア人で、現在ベトナムに住んでいるという。

その前には、中国の貴州省に留学していた、といった。

「ロシアのどこ?」と聞くと

「あなたはロシアの都市を知ってるのかしら…」とつぶやいた後

「Petersburg」

???

ドイツのどっか??

いや、ロシアって言ったよな…

僕は「わらかない」と首を振った。

「知らないよね。ロシアで第二の都市よ」と残念そうにいった。

第二の都市?

「ロシアの第二の都市は、サンクトペテルブルグだと思ってた」とつぶやくと

彼女は「Yes!!」と叫んだ。

???

???

どゆこと??

サンクトペテルブルグよ!!英語ではPetersburgと言うの」といった後

ニヤニヤしながら、僕の日本語の発音の「サンクトペテルブルグ」を真似た。

「日本語では、ロシア語の発音に近いのね」

レニングラードだったところでしょ?」

またも「Yes!!」と叫んだ。

「とてもきれいなところらしいね」というと

「なんでそんなに知ってるの?」と聞かれた。

ウラジオストクからモスクワまでシベリア鉄道に乗ったことあるんだ。そのときガイドブックだけ読んだよ」

「ワオ!!私はロシア人なのにそんな距離乗ったことないわ。サンクトペテルブルグには行かなかったの?」

「行きたかったけどね。時間的にいけなかった。」

「行くべきだったわね。モスクワよりいいところよ」と得意げにいった。

モスクワより良い場所。きっとそれは、事実なのだろう。

僕は、WW2時に、レニングラードがドイツ軍に包囲され、大量の餓死者を出した惨事について質問したかったが、それはやめておいた。

彼女は
台北何回目?」と聞いた。

「4回目」

「ワオ!!私初めてなの。オススメ教えて!!」

そこで僕はピタリと止まった。

そこで僕は、台北のオススメの場所というものを全く知らない、ということに初めて気づいた。

「言われてみれば、いつも違う都市にばかり行ってて、台北のことはよく知らないや」

「OK。101ビルに行ってみるわ」といって、彼女は出ていった。

僕は、コンサートまで英気を養うことにした。

ヘッドホンをして「重力と呼吸」を再生した。

歌詞カードを出して予習した。

ほどなくして彼女が戻ってきた。

「どうしたの?」

「銀行に両替いったらパスポートないのに気づいて…」とブツブツ言いながらローカーでゴソゴソやっていた。

海外を楽しめる人ってのは、そんなもんだ。

コンサート会場までは南京東路一本だが、バスに乗る。<br /><br />隣に座っているおじさんが話しかけてきた。<br /><br />「日本からか。たった今埼玉から帰ってきた友人と会ってきたばかりさ。<br /> 埼玉、知ってるか?<br /> そうかそうか。<br /> 埼玉だぞ、埼玉。<br /> そうかそうか、知っているか。<br /> 日本から帰ってきたばかりの人と会ったその帰りに、日本人と会うとはな!!<br /> どこに行くんだ?コンサート会場か。<br /> そうか、そうか。<br /> じゃあここで降りなさい」<br /><br />ご機嫌なおじさんだった。

 

コンサート会場までは南京東路一本だが、バスに乗る。

隣に座っているおじさんが話しかけてきた。

「日本からか。たった今埼玉から帰ってきた友人と会ってきたばかりさ。
 埼玉、知ってるか?
 そうかそうか。
 埼玉だぞ、埼玉。
 そうかそうか、知っているか。
 日本から帰ってきたばかりの人と会ったその帰りに、日本人と会うとはな!!
 どこに行くんだ?コンサート会場か。
 そうか、そうか。
 じゃあここで降りなさい」

ご機嫌なおじさんだった。

降りると巨大な建物が。<br /><br />中心部らしい。

 

降りると巨大な建物が。

中心部らしい。

コンサート会場。

 

コンサート会場。

19時半開始のコンサート。<br /><br />5時ごろ着くと、すでに人だかりが。

 

19時半開始のコンサート。

5時ごろ着くと、すでに人だかりが。

コンサート会場でグッズも買う。<br /><br />日本で売っているのと同じもの。<br /><br />でも、並んでいた日本人に聞くと<br />「台湾で売ってる方がちょっと高いかな」<br /><br />あとで調べてみると、日本でもネットで全く同じものが買えること、台湾で買うと「ちょっと」どころでなく高いことがわかった。<br /><br />台湾公演で日本在住の人間が買う必要性はないらしい。

 

コンサート会場でグッズも買う。

日本で売っているのと同じもの。

でも、並んでいた日本人に聞くと
「台湾で売ってる方がちょっと高いかな」

あとで調べてみると、日本でもネットで全く同じものが買えること、台湾で買うと「ちょっと」どころでなく高いことがわかった。

台湾公演で日本在住の人間が買う必要性はないらしい。

コンサート前に腹ごしらえ。<br /><br />コンサート会場から歩いて数分のお店へ。<br /><br />店内は8割が日本人。<br /><br />みんなミスチルコンサートに来た人だな~。

 

コンサート前に腹ごしらえ。

コンサート会場から歩いて数分のお店へ。

店内は8割が日本人。

みんなミスチルコンサートに来た人だな~。

喉が渇いたので、スーラータン。

 

喉が渇いたので、スーラータン

そして蒸し餃子。<br /><br />生姜たっぷり。<br /><br />日本の生姜みたいに辛くないから、ムシャムシャ食べられる。<br /><br />計250元≒1000円<br /><br />ここは、ちょっと高めかな。中心部だからな。<br /><br />普通にうまいからよし!!

 

そして蒸し餃子。

生姜たっぷり。

日本の生姜みたいに辛くないから、ムシャムシャ食べられる。

計250元≒1000円

ここは、ちょっと高めかな。中心部だからな。

普通にうまいからよし!!

ミスチルコンサートベテランの友人のアドバイスに従って、およそ1時間前に会場入り。<br /><br />入り口付近には列ができていた。<br /><br /><br />僕のチケットは最前の立ち見だった。<br /><br />一番高い席で、ほとんどが日本人客のようだった。<br /><br /><br />まだ中には入れないらしい。<br /><br />僕も自分の番号の区画に行くが、どう並んでいるのかわからない。<br /><br />どうも「並びたがる日本人に対し、並ぶことをそれほど求めていない台湾人会場係り」という構図のようだった。<br /><br /><br />とりあえず後ろの方の人の少ないところに行く。<br /><br />寒い。<br /><br />一人待っていると、隣に女性一人が来た。<br /><br />「ミスチルは台湾でどの程度人気なのか」を知りたかった僕は、遠慮なく質問する。<br /><br />彼女から得た情報では<br />・きょうは比較的寒い<br />・ミスチルが流行った当時は、台湾で日本ブームだった<br />・そのころ日本で流行った歌手やグループは台湾でも人気になった<br />・ただ、自分は洋楽が一番好きなので、日本の歌手のことはそれほど詳しくない<br />・その中で、ミスチルは好きなグループだったので、せっかくだから来てみた<br />・転売チケットが手に入ったのは3日前<br />・今の若い子は、日本より韓国歌手が好き<br /><br />ということらしい。<br /><br /><br />彼女はことあるごとに<br />「私は若くないので…」を繰り返した。<br /><br />その度に僕は<br />「そんなことはございません」とフォローせざるをえなかった。<br /><br />マスクをしていたこともり、彼女の年の頃はわからなかったが、20後半~ぐらいだとは思うのだけど<br />年齢にコンプレックスを感じることが何かあったのだろうか…<br /><br />会場にいるファンは皆、僕と同じような年齢層だった。<br /><br />30~40ぐらい。<br /><br />みんなあなたより年上だし。と思った。<br /><br />日本の女性に自己評価が低い人はたくさんいるが、台湾の女性もそうなのだろうか、と思うことがある。<br /><br />この女性もそんな気がした。<br /><br />と、ここまで書いて思った。<br /><br />もしかして、誘ってると思われたのかな…そこで予防線を張っていたのか?<br /><br /><br /><br /><br />会話の方向性を変えた。<br /><br />「コンサートはどうやって聴くの?」と聞いてみた。<br /><br />「どうやってって??」<br /><br />「飛び跳ねたりとか?」<br /><br />「そんなことしないわ。私はむしろ、座り席で静かに聴きたかったの。あなたはどう聴くの?」<br /><br />生涯2度目のコンサート。いざ聞かれてみるとわからなかった。<br /><br /><br /><br />コンサートは、19時半からだったが、すでに19時15分だった。<br /><br />気づくと、我々の区画が最後らしかった。<br /><br /><br />「台湾のコンサートってこんな風に時間にルーズなの?」<br /><br />「いや、これはちょっとおかしいわ」<br /><br />ようやく会場に入れたのは、19時半目前だった。<br /><br />彼女は、後ろに陣取った。<br /><br />僕は彼女にお礼と別れを告げて、前に進んだ。<br /><br /><br />会場は満員で、ボルテージはすでにマックス、という感じだった。<br /><br /><br />会場が暗くなると<br />「おー!!」との歓声が上がる。<br /><br />中国語、日本語のアナウンスが入り、<br />10分遅れでコンサートは始った。<br /><br /><br />気づくと、僕の前の前は山のように背の高い男性が2人いたが、もう周囲に移動するのもためらわれた。<br /><br />左は空いていたが、そのすぐ後ろに背の低い女性3人組がいた。<br /><br />僕が入ったら完全に邪魔になる。<br /><br />右隣りは、台湾人カップルだった。女性の方は恰幅が良かった。<br /><br /><br />メンバーまでの距離は、野球のベース間よりちょっと遠いぐらいだった。<br /><br />ベース間27mを基準にして…<br /><br />35mと目算した。<br /><br /><br />最初は<br />「SINGLES」だった。<br /><br />最初の激しい音が、1曲目にぴったりだった。<br /><br />コンサートの1曲目でいくことを意識して書いたような、そんなイントロだと思った。<br /><br />桜井さんは、赤いTシャツに青の襟なしのジャケットだった。<br /><br /><br />3、4曲歌い終わった後、桜井さんはすでに、汗をびっしょりかいていた。<br /><br />自己紹介の時間となった。<br /><br />こういう時間を、MC、というらしい。<br /><br />メンバーが中国語であいさつして、中国語で名前を紹介した。<br /><br />会場は大盛りあがり。<br /><br /><br />自分の周りは日本人だらけだけど、座り席には台湾の人も大勢いるらしい。<br /><br />メンバーの中国語のあいさつは、一生懸命練習してきた、というのが伝わってきた。<br /><br />こういうところにも手を抜かない。<br /><br />さすが、大人気グループ。<br /><br />プロだなぁ。<br /><br />当たり前か。<br /><br /><br />左のギターの人の番になった。<br /><br />聞き取れない。<br /><br />と、会場のボルテージはさらに上がり、割れんばかりの歓声が響いた。<br /><br />台湾語か!!<br /><br />さすが。<br /><br />ニクイ演出。<br /><br /><br />さらに「重力と呼吸」の演目は続く。<br /><br />この日のために僕は、「重力と呼吸」を聴き込んで来た。<br /><br />この歳になると新しい音楽を聴くのにはエネルギーが必要だったが、それでも聴き込んだ。<br /><br /><br />大音量の会場の中で、僕は目をつむり、一緒に大声で歌う。<br /><br />自分の声は全く聞こえない。<br /><br />心地いい。<br /><br /><br />時折、桜井さんが花道に出てくる。<br /><br />桜井との距離が近づくたび、飛び跳ねながら手を振る女性ファン。<br /><br />その視線は桜井さんにロックオンされ、他のものは全く何も見えていないようだった。<br /><br />迷いは何ない、という感じだった。<br /><br />そこまで入っていけるのがうらやましかった。<br /><br />彼女たちと自分との距離感を意識した時、ふと、<br />「自分はミスチルを見に来たわけじゃない」ことに気づいた。<br /><br />それは少し、自分にとっても意外なことだった。<br /><br /><br />じゃあ何をしに??<br /><br />わからない。<br /><br /><br />とにかく僕は、目をつむって大声で歌い続けた。<br /><br /><br />懐かしい曲もたくさん。<br /><br />不朽の名曲のイントロが流れるたびに大きな歓声が上がる。<br /><br /><br />「Tomorrow never knows」「抱きしめたい」「innocent world」…<br /><br />曲とともに、当時のことを思い出す。<br /><br />いろんなことがフラッシュバックする。<br /><br />僕たちの世代が皆そうであったように、僕の思春期はミスチルの曲とともにあった。<br /><br />悩んで悩んで悩んで行きづまっては、ミスチルの曲に耳を傾けた。<br /><br />悩んでいるのは僕だけじゃないと励まされた。<br /><br /><br /><br />当時の大人のアドバイスは、僕にとって見当はずれなものばかりだった。<br /><br />ミスチルの曲を聴けば、そこには果てしない絶望と共に、慰めと励ましがあった。<br /><br />「盲目ゆえに見えるものもある」。<br /><br />「どこかに自分を必要としている人がいる」。<br /><br /><br /><br />6曲目の「NOT FOUND」は、僕が地元の大学の入学が決まった年に発売された曲だった。<br /><br />大学入学=絶望の時代、の始まりだった。<br /><br />「微笑みを」と繰り返されても、「できるかばかやろう」と毒づいて生活していた日々を思い出した。<br /><br /><br />突然、2つ下の妹が僕の脳内にやってきた。<br /><br />当時、家族の中で心を開いて喋れたのは妹だけだった。<br /><br />無条件で自分を尊重してくれたのは、家族の中で妹だけだったように思う。<br /><br /><br />根アカの妹は、僕と全く性格が違った。<br /><br />末っ子の妹と、4人兄弟で3番目の自分。<br /><br />なぜ同じ兄妹で、こうも性格が違うんだろう。<br /><br />妹は僕と違い、両親と良好な関係を築いていた。<br /><br />僕の自我を形成してきた大音量の生歌とともに、いろんな思いが交錯する。<br /><br /><br />こんな歌詞を書き綴ることができる桜井さんとは、どんな生い立ちなんだろう、と大声で歌いながら思いを巡らせた。<br /><br />コンサート中に見せる彼の表情と、彼が綴る歌詞とが、うまくマッチしない。<br /><br /><br /><br />途中、右隣にした台湾人カップルが動きを見せた。<br /><br />どうも、恰幅の良い女性が気分が悪く、休みたがっているようだった。<br /><br />あれ?<br /><br />彼女のお腹が大きい。<br /><br />妊娠しているのか!!<br /><br />すかさず近くの女性が話しかける。<br /><br />たぶん僕も聞きたいことを聞いているはず。<br /><br />僕は聞き耳を立てた。<br /><br />「8カ月」という単語が聞き取れた。<br /><br />マジか。<br /><br />この時期にこんな場所いていいのか??<br /><br />大音量は胎児に問題ないのか??<br /><br />妊婦さんは、お腹をそっと抱えながらも、表情はとてもつらそう。<br /><br />今にも生まれそうだ。<br /><br />それでも旦那は、座らせただけで満足している。<br /><br />いいのか??<br /><br />帰ったほうがよくない??<br /><br />たぶん、旦那以外の周りにいる全員がそう思ったのだろう。<br /><br />ほどなくして会場係りが来て、2人を退場させた。<br /><br />妊娠がどれほど大変なことなのかを、理解していない男性は多い。<br /><br />それは恐らく、台湾でもそうなのかも知れない。<br /><br /><br />途中のMCで、桜井さんは<br />「ニーメン カイシンマ??(Are you happy??)」と質問した。<br /><br />会場からは<br />「カイシーン!!」と本当にうれしそうな声が返ってきた。<br /><br />台湾人ファンも熱い。<br /><br /><br />夢のような時間は無情にも過ぎていった。<br /><br />気がつけば、黒の襟なしのジャケットになっていた桜井さんは、中国語で言った。<br /><br />「ズイホウ イーショーグー(最後の一曲)」。<br /><br />周りの日本人から<br />「なんて言ったの??」との声が漏れる。<br /><br />まだ、「重力と呼吸」でも数曲歌っていないのがあるはずだった。<br /><br />そして、名曲「皮膚呼吸」が始まった。<br /><br />「自分探しに夢中でいられる歳じゃない<br /> でも夢を見るのをやめられない<br /> 僕にしか出せない特別な音がある きっと」<br /><br /><br />会社辞めちゃったんだ。<br /><br />僕ももう、そう信じるしかない、と思う。<br /><br /><br />アンコールが始まった。<br /><br />「蘇生」を歌ってくれないか、と願っていたが、最後の曲になってしまった。<br /><br />最後は<br />「終わりなき旅」だった。<br /><br />「未完」コンサートにも連れて行ってくれた親友が、大好きな曲だった。<br /><br />同じ時期に会社を辞めたこともあり、この数カ月、彼と楽しい時間を過ごした。<br /><br />いろんなことを語り合った。<br /><br />どうしたら組織に頼らず自力で生きていけるのか?が最大のテーマだった。<br /><br />そのためには、僕らは自分自身を改めて掘りさげていく必要があった。<br /><br />彼は、僕を知っている。<br /><br />退職祝いに、僕に最適な本をプレゼントしてくれた。<br /><br />「お前に必要なのはこれだ」<br /><br />全くその通りだった。自分では絶対に選ばない、でも絶対に必要な本。<br /><br /><br />一緒に来れなくて残念だが、彼はようやく自分の道を見つけた。<br /><br />今は東京で頑張っている。<br /><br />その彼が一番好きな曲だ。<br /><br />上京前の激励会はカラオケにした。<br /><br />僕らは<br />「蘇生」を歌い「星になれたら」を歌い「終わりなき旅」を2度歌った。<br /><br />彼は<br />「高ければ高い壁のほうが登った時気持ちがいい」ところがぐっとくる、といった。<br /><br />僕は、高い壁でことごとく挫折してきたので、その歌詞は正直きつかった。<br /><br />だから、この曲も好きになれなかった。<br /><br />でも、歌うことはできる。<br /><br /><br />最後の曲だ。<br /><br />僕は大声で歌った。<br /><br />お酒は飲んでいなかったが、脳みそは麻痺していた。<br /><br /><br />「カンナみたいに命を削って情熱を注いで」<br /><br />テレビで働いていた頃の俺。削っても削っても、補充されなかった日々。虚しさだけがの募っていった。<br /><br />「自分を必要としている人がいる」<br /><br />もう子供もいる。数カ月会ってないけど、今だに「パパ、パパ」と言っているらしい。<br /><br />「閉ざされたドアの向こうに新しい何かが待っていて」<br /><br />「新しい何か」を見たくて僕は会社を辞めた。<br /><br />「もっと素晴らしいはずの自分をさがす終わりなき旅」<br /><br />この会社ではもっと素晴らしい自分とは一生出会えないと思い、辞めた。<br /><br />そう。「素晴らしいはず」という見切り発車で。<br /><br />「胸に抱え込んだ迷いがプラスの力に変わるように」<br /><br />会社を辞めてどう生きていくのか?迷って迷って考えて考えておかしくなりそう。<br /><br />「生きるためのレシピなんかない」<br /><br />そうだ!ないのだ!!<br /><br />俺の人生はここから始まるんだ!!<br />やっと始まるんだ!!<br /><br />「もっと大きなはずの自分さがす終わりなき旅」<br /><br />いいんだこれで。探して探して探し続けよう。<br /><br />僕は心の中で親友に伝えた。<br /><br />「終わりなき旅、最高だぜ」。<br /><br /><br /><br />僕はさっき会話を会話した女性の「どうやって聴くの?」という質問に、心の中で回答した。<br /><br />「人生を振り返りながら聞いたよ」。<br /><br /><br />僕は気づいた。<br /><br />僕はこのコンサートに「人生に区切りをつけに来たのだ」。<br /><br /><br />第二の人生を進もうと、仕事を辞めて3カ月。<br /><br />苦悩の日々は続いている。<br /><br />銀行口座の数字は減り続けている。<br /><br />でもこれは「産みの苦しみ」だ。<br /><br />これでいいのだ。<br /><br />怖いのは、目の前の不安に負けて、小さくまとまってしまうことだ。

 

ミスチルコンサートベテランの友人のアドバイスに従って、およそ1時間前に会場入り。

入り口付近には列ができていた。


僕のチケットは最前の立ち見だった。

一番高い席で、ほとんどが日本人客のようだった。


まだ中には入れないらしい。

僕も自分の番号の区画に行くが、どう並んでいるのかわからない。

どうも「並びたがる日本人に対し、並ぶことをそれほど求めていない台湾人会場係り」という構図のようだった。


とりあえず後ろの方の人の少ないところに行く。

寒い。

一人待っていると、隣に女性一人が来た。

ミスチルは台湾でどの程度人気なのか」を知りたかった僕は、遠慮なく質問する。

彼女から得た情報では
・きょうは比較的寒い
ミスチルが流行った当時は、台湾で日本ブームだった
・そのころ日本で流行った歌手やグループは台湾でも人気になった
・ただ、自分は洋楽が一番好きなので、日本の歌手のことはそれほど詳しくない
・その中で、ミスチルは好きなグループだったので、せっかくだから来てみた
・転売チケットが手に入ったのは3日前
・今の若い子は、日本より韓国歌手が好き

ということらしい。


彼女はことあるごとに
「私は若くないので…」を繰り返した。

その度に僕は
「そんなことはございません」とフォローせざるをえなかった。

マスクをしていたこともり、彼女の年の頃はわからなかったが、20後半~ぐらいだとは思うのだけど
年齢にコンプレックスを感じることが何かあったのだろうか…

会場にいるファンは皆、僕と同じような年齢層だった。

30~40ぐらい。

みんなあなたより年上だし。と思った。

日本の女性に自己評価が低い人はたくさんいるが、台湾の女性もそうなのだろうか、と思うことがある。

この女性もそんな気がした。

と、ここまで書いて思った。

もしかして、誘ってると思われたのかな…そこで予防線を張っていたのか?




会話の方向性を変えた。

「コンサートはどうやって聴くの?」と聞いてみた。

「どうやってって??」

「飛び跳ねたりとか?」

「そんなことしないわ。私はむしろ、座り席で静かに聴きたかったの。あなたはどう聴くの?」

生涯2度目のコンサート。いざ聞かれてみるとわからなかった。



コンサートは、19時半からだったが、すでに19時15分だった。

気づくと、我々の区画が最後らしかった。


「台湾のコンサートってこんな風に時間にルーズなの?」

「いや、これはちょっとおかしいわ」

ようやく会場に入れたのは、19時半目前だった。

彼女は、後ろに陣取った。

僕は彼女にお礼と別れを告げて、前に進んだ。


会場は満員で、ボルテージはすでにマックス、という感じだった。


会場が暗くなると
「おー!!」との歓声が上がる。

中国語、日本語のアナウンスが入り、
10分遅れでコンサートは始った。


気づくと、僕の前の前は山のように背の高い男性が2人いたが、もう周囲に移動するのもためらわれた。

左は空いていたが、そのすぐ後ろに背の低い女性3人組がいた。

僕が入ったら完全に邪魔になる。

右隣りは、台湾人カップルだった。女性の方は恰幅が良かった。


メンバーまでの距離は、野球のベース間よりちょっと遠いぐらいだった。

ベース間27mを基準にして…

35mと目算した。


最初は
「SINGLES」だった。

参考:重力と呼吸

YouTube


Mr.Children「Your Song」from Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸



最初の激しい音が、1曲目にぴったりだった。

コンサートの1曲目でいくことを意識して書いたような、そんなイントロだと思った。

桜井さんは、赤いTシャツに青の襟なしのジャケットだった。


3、4曲歌い終わった後、桜井さんはすでに、汗をびっしょりかいていた。

自己紹介の時間となった。

こういう時間を、MC、というらしい。

メンバーが中国語であいさつして、中国語で名前を紹介した。

会場は大盛りあがり。


自分の周りは日本人だらけだけど、座り席には台湾の人も大勢いるらしい。

メンバーの中国語のあいさつは、一生懸命練習してきた、というのが伝わってきた。

こういうところにも手を抜かない。

さすが、大人気グループ。

プロだなぁ。

当たり前か。


左のギターの人の番になった。

聞き取れない。

と、会場のボルテージはさらに上がり、割れんばかりの歓声が響いた。

台湾語か!!

さすが。

ニクイ演出。


さらに「重力と呼吸」の演目は続く。

この日のために僕は、「重力と呼吸」を聴き込んで来た。

この歳になると新しい音楽を聴くのにはエネルギーが必要だったが、それでも聴き込んだ。


大音量の会場の中で、僕は目をつむり、一緒に大声で歌う。

自分の声は全く聞こえない。

心地いい。


時折、桜井さんが花道に出てくる。

桜井との距離が近づくたび、飛び跳ねながら手を振る女性ファン。

その視線は桜井さんにロックオンされ、他のものは全く何も見えていないようだった。

迷いは何ない、という感じだった。

そこまで入っていけるのがうらやましかった。

彼女たちと自分との距離感を意識した時、ふと、
「自分はミスチルを見に来たわけじゃない」ことに気づいた。

それは少し、自分にとっても意外なことだった。


じゃあ何をしに??

わからない。


とにかく僕は、目をつむって大声で歌い続けた。


懐かしい曲もたくさん。

不朽の名曲のイントロが流れるたびに大きな歓声が上がる。


Tomorrow never knows」「抱きしめたい」「innocent world」…

曲とともに、当時のことを思い出す。

いろんなことがフラッシュバックする。

僕たちの世代が皆そうであったように、僕の思春期はミスチルの曲とともにあった。

悩んで悩んで悩んで行きづまっては、ミスチルの曲に耳を傾けた。

悩んでいるのは僕だけじゃないと励まされた。



当時の大人のアドバイスは、僕にとって見当はずれなものばかりだった。

彼らにも、僕という人間を理解できなかったのだ。

でも、ミスチルの曲を聴けば、そこには果てしない絶望と共に、慰めと励ましがあった。

「盲目ゆえに見えるものもある」。

「どこかに自分を必要としている人がいる」。



6曲目の「NOT FOUND」は、僕が地元の大学の入学が決まった年に発売された曲だった。

大学入学=絶望の時代、の始まりだった。

「微笑みを」と繰り返されても、

聞くたびに「できるかばかやろう」と毒づいて生活していた日々を思い出した。


突然、2つ下の妹が僕の脳内にやってきた。

当時、家族の中で心を開いて喋れたのは妹だけだった。

無条件で自分を尊重してくれたのは、家族の中で妹だけだったように思う。


根アカの妹は、僕と全く性格が違った。

末っ子の妹と、4人兄弟で3番目の自分。

なぜ同じ兄妹で、こうも性格が違うんだろう。

妹は僕と違い、両親と良好な関係を築いていた。

僕の自我を形成してきた大音量の生歌とともに、いろんな思いが交錯する。


こんな歌詞を書き綴ることができる桜井さんとは、どんな生い立ちなんだろう、と大声で歌いながら思いを巡らせた。

コンサート中に見せる彼の表情と、彼が綴る歌詞とが、うまくマッチしない。

彼は彼で「ミスターチルドレン桜井和寿

という仮面をかぶらずにはいられないのだろう。

曲がやんだ。

途中のMCで、桜井さんは
「ニーメン カイシンマ??(Are you happy??)」と質問した。

会場からは
「カイシーン!!(Happy)」と声が返ってきた。

 

本当にうれしそうな声だった。

台湾人ファンも熱い。

 

そんななか、いろんな演出とともに

たくさんの曲が流れていった。


夢のような時間は無情にも過ぎていった。

気がつけば、黒の襟なしのジャケットになっていた桜井さんは、中国語で言った。

「ズイホウ イーショーグー(最後の一曲)」。

周りの日本人から
「なんて言ったの??」との声が漏れる。

まだ、「重力と呼吸」でも数曲歌っていないのがあるはずだった。

そして、名曲「皮膚呼吸」が始まった。

「自分探しに夢中でいられる歳じゃない
 でも夢を見るのをやめられない
 僕にしか出せない特別な音がある きっと」


会社辞めちゃったんだ。

僕ももう、そう信じるしかない、と思う。


アンコールが始まった。

「蘇生」を歌ってくれないか、と願っていたが、最後の曲になってしまった。

最後は
「終わりなき旅」だった。

「未完」コンサートにも連れて行ってくれた親友が、大好きな曲だった。

同じ時期に会社を辞めたこともあり、この数カ月、彼と楽しい時間を過ごした。

いろんなことを語り合った。

どうしたら組織に頼らず自力で生きていけるのか?が最大のテーマだった。

そのためには、僕らは自分自身を改めて掘りさげていく必要があった。

彼は、僕を知っている。

退職祝いに、僕に最適な本をプレゼントしてくれた。

「お前に必要なのはこれだ」

全くその通りだった。自分では絶対に選ばない、でも絶対に必要な本。


一緒に来れなくて残念だが、彼はようやく自分の道を見つけた。

今は東京で頑張っている。

その彼が一番好きな曲だ。

上京前の激励会はカラオケにした。

僕らは
「蘇生」を歌い「星になれたら」を歌い「終わりなき旅」を2度歌った。

彼は
「高ければ高い壁のほうが登った時気持ちがいい」ところがぐっとくる、といった。

僕は、高い壁でことごとく挫折してきたので、その歌詞は正直きつかった。

だから、この曲も好きになれなかった。

でも、歌うことはできる。


最後の曲だ。

僕は大声で歌った。

お酒は飲んでいなかったが、脳みそは麻痺していた。


「カンナみたいに命を削って情熱を注いで」

テレビで働いていた頃の俺。削っても削っても、補充されなかった日々。虚しさだけがの募っていった。

「自分を必要としている人がいる」

もう子供もいる。数カ月会ってないけど、今だに「パパ、パパ」と言っているらしい。

「閉ざされたドアの向こうに新しい何かが待っていて」

「新しい何か」を見たくて僕は会社を辞めた。

「もっと素晴らしいはずの自分をさがす終わりなき旅」

この会社ではもっと素晴らしい自分とは一生出会えないと思い、辞めた。

そう。「素晴らしいはず」という見切り発車で。

「胸に抱え込んだ迷いがプラスの力に変わるように」

会社を辞めてどう生きていくのか?迷って迷って考えて考えておかしくなりそう。

「生きるためのレシピなんかない」

そうだ!ないのだ!!

俺の人生はここから始まるんだ!!
やっと始まるんだ!!

「もっと大きなはずの自分さがす終わりなき旅」

いいんだこれで。探して探して探し続けよう。

僕は心の中で親友に伝えた。

「終わりなき旅、最高だぜ」。



僕はさっき会話を会話した女性の「どうやって聴くの?」という質問に、心の中で回答した。

「人生を振り返りながら聞いたよ」。


僕は気づいた。

僕はこのコンサートに「人生に区切りをつけに来たのだ」。


第二の人生を進もうと、仕事を辞めて3カ月。

苦悩の日々は続いている。

銀行口座の数字は減り続けている。

でもこれは「産みの苦しみ」だ。

これでいいのだ。

怖いのは、目の前の不安に負けて、小さくまとまってしまうことだ。

僕はヘッドホンをして「終わりなき旅」をリピートで歌いながら宿まで戻った。<br /><br />台湾の通行人は、大声で歌っている僕を、目をつむっているせいで時折ふらつく僕を気にかけなかった。<br /><br />僕はますます台湾が好きになった。<br /><br />そして「明日もコンサートに行きたい!」と思った。

 

僕はヘッドホンをして「終わりなき旅」をリピートで歌いながら宿まで戻った。

台湾の通行人は、大声で歌っている僕を、目をつむっているせいで時折ふらつく僕を気にかけなかった。

僕はますます台湾が好きになった。

そして「明日もコンサートに行きたい!」と思った。

 

 

 

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蛇足話

 

コンサートの途中にこんなことがあった。

 

途中、右隣にした台湾人カップルが動きを見せた。

どうも、恰幅の良い女性が気分が悪く、休みたがっているようだった。

あれ?

彼女のお腹が大きい。

妊娠しているのか!!

すかさず近くの女性が話しかける。

たぶん僕も聞きたいことを聞いているはず。

僕は聞き耳を立てた。

「8カ月」という単語が聞き取れた。

マジか。

この時期にこんな場所いていいのか??

大音量は胎児に問題ないのか??

妊婦さんは、お腹をそっと抱えながらも、表情はとてもつらそう。

今にも生まれそうだ。

それでも旦那は、座らせただけで満足している。

いいのか??

帰ったほうがよくない??

たぶん、旦那以外の周りにいる全員がそう思ったのだろう。

ほどなくして会場係りが来て、2人を退場させた。

妊娠がどれほど大変なことなのかを、理解していない男性は多い。

それは恐らく、台湾でもそうなのかも知れない。

 

 

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